#001:エンドレス・ポエトリー/その存在は、完全なる光。心が高揚し、血が躍るのを感じる。映画は、人生を変える。【映画レビュー】
※ネタバレほぼなし
★★★★★5.0
あらすじ
舞台は故郷トコピージャから首都サンティアゴへ。父親との軋轢や自身の葛藤を抱えたホドロフスキーは、初めての恋や友情、古い規則や制約に縛られない若きアーティストたちとの出会いと交流を経て、囚われた檻から解放され詩人としての自己を確立する。
今作品は全編を通じて、詩的に自由に生きることへのホドロフスキーの完全な肯定に溢れている。
私はアレハンドロ・ホドロフスキーが大好きだ。ホドロフスキーが私が自分を解放して生きることを肯定してくれる。こんなに嬉しいことがあるだろうか。
映画を観て数日経つが、未だに映画のことが頭から離れない。仕事も手につかない。
こんな感覚は大学時代、神戸元町にできた小さな映画館でホドロフスキーの『ホーリー・マウンテン』を観て以来のことだ。
こんなに素晴らしい芸術があるなんて。
今まで映画は好きで結構観てきたけど、こんなに心が動いたことをどうしても書きとめておきたくて、初めてレビューを書くことにした。
若きアーティストやステジャ・ディアスとの出会い、行動する詩人としての活動。家の消失と自己の完全なる開放。生きることへの恐怖。
悩み苦しむとき、未来の自分(ホドロフスキー自身)が現れ、前を向けと過去の自分を鼓舞する。
映画を観終わった直後は、ラストの死と生が共鳴するカーニバルのシーンが頭から離れなかった。
次の日からホドロフスキーのメッセージが反響するようになった。
「生きろ! 生きろ! 生きろ!」と。
私は子供のころから芸術を作ることが好きだった。
でもいつの間にか世間に触れ、抑圧されることで、子供の頃何にも恐れることなく否定することなく持っていた自分の芸術を「世間体」で批判し、いつの間にか捨ててしまった。
自分を抑制しているのは自分だということに気づいたときにはもう遅かった。
才能は30を手前にして開花させるには遅すぎる。そんな絶望を抱えていた。
だけど、そんなときにこの映画を観ることができて本当に救われた。
今後私が今の地位を全て捨て、後悔することがあっても、この作品が必ず助けてくれると思った。
この映画こそが私の行く道を照らしてくれるんだと確信した。
生きろとホドロフスキーが鼓舞してくれるから。
その存在は完全なる光だから。
燃え盛る蝶のように、真の自分を見つけるんだ。