Instant † Church

好きなもの、大切なもの それ以外全て捨てて身軽にドラマティックに生きるのだ。

#002:GIMME DANGER ギミー・デンジャー/パンクロックは哀しみを通過してブルースになる。【映画レビュー】

GIMME DANGER/監督:ジム・ジャームッシュ

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※ネタバレなし

★★☆☆☆2.0

あらすじ

 

パンク界のカリスマ、イギー・ポップが属した The Stooges の歴史をたどる音楽ドキュメンタリー。デヴィッド・ボウイとのコラボレーションをはじめ、過激なサウンドやステージングでファンを魅了したバンドの軌跡を、イギーらメンバーのインタビューなどで紹介。

 

映画を見た直後だと、数々のシーンが色褪せない様に必死に脳内に思い浮かべて
やや分析気味にそのときの熱量を保存するかのように書き連ねることが多い様に思う。
ジム・ジャームッシュの『GIMME DANGER』については鑑賞後早2ヶ月が経とうとしているが、漸く今になってこの映画を思い起こして書いてみようとしている。

 

私にとってジム・ジャームッシュを観るのは3作目で、
1作目の『コーヒー・アンド・シガレッツ』は、私が最も愛するWhite Stripesを拝むためだけに、大学の頃深夜うとうとしながら観た。
2作目の『リミッツ・オブ・コントロール』は、当時好きだった男の子がツタヤで借りてきてくれて私の家で一緒に観た。(その子のことが好きすぎて終始どきどきしていたのにそれでも寝そうになった)
3作目が『GIMME DANGER』だ。これは映画館で見た。集中して。
2作が惰性で観ているものだから、ジャームッシュの映画はだらだら脇見ぐらいで観るものだと思っていて、『GIMME DANGER』を集中して観るのには骨が折れた。

 

この映画を観て私の中に残ったもの。それは、青春を過ごした友人たちが天国へと旅立ってしまう、その後に残された者の哀しさだった。
ロックがブルースになっていく様をイギーの中に見た。

イギー・ポップの存在はずっと知っていた。でも聴いたことが無かった。
例えるならVelvet Undergroundのバナナジャケは知っているけど聴いたことがない、みたいな感じだ。(因みに私はvelvet undergroundがめちゃくちゃに好きだ)
イギー・ポップの名前や写真におけるインパクトは曲を聴いたことが無いにも拘らずずっと私の中に残っていて、the stoogesのボーカリストだったことは恥ずかしながらこの映画で初めて知った。

 

決してコピーできない音楽ってあると思う。
誰がどうやったってオリジナルに届かない、学祭のコピーバンドなんかでやるとどれだけ上手く演奏しようが絶対にスベるバンド。
例えばSEX PISTOLSJOY DIVISION,Velvet Underground
the stoogesはまさに彼らしかできない、やっちゃいけないバンドなんだと映画を観てすぐに思った。
映画はイギー始めメンバーへのインタビューと当時の映像、ジャームッシュらしいモノクロでスタイリッシュな編集で流れていく。
時代は彼らと流れていく。ロッカーらしくむちゃくちゃなことをやって、暴れて転げまわって。
今では暴れまわるパフォーマンスは市民権を得ているが、
破壊的なロックを初めてやったのはstoogiesではないだろうか?

 

そして彼らが終わってからも、その影響を受けたロックバンドが時代を作っていく。
時代は流れていき、彼らは歳をとっていく。
メンバーの何人かが亡くなっている。そのことを語る彼らの目は哀しくもブルースを奏でていた。
冒頭のジャームッシュによるスタイリッシュな編集と対照に、老いた彼らの姿、その哀しい目はどうもスタイリッシュに編集できるようなものではなかった。(よって星2つ)
それは彼らが復活してもそうだ。
バンドの復活、栄光を見ているのか、新たに何か成し遂げたいのか、
それとも天国へと旅立っていく友人への弔いなのか。

イギーはなぜ「俺の映画を撮ってくれ」と言ったのだろう?